きみと３秒見つめ合えたなら

〜聖斗side〜優しいだけでは

　オレは1年の時の様に遠くから、相川を見ることしかできなくなった。　
　
　噂の真相はオレにはわからない。
　ただ、相川を想えば想うほど、切なさが募る。

　失恋の痛手は、サッカーにも影響しているようで、調子が上がらない。

　そんなやるせない日を過ごしていたある日の部活終わりに、先に帰ったはずの美帆がオレのところに血相をかえて走ってきた。

「聖斗、来て！絢音が...」
「相川がどうしたんだよ。」
もうオレには関係ないだろ？

「とにかく、助けて！」
そう言って、オレは腕を掴まれ、校舎裏へ連れて行かされた。　

　どうやら、相川は恭介ファンの2年の女子に言いがかりをつけられている。
...にしても、1対5って無しだろ。

「聖斗、助けてあげてよ。私が行ったって、言い負かされちゃうし。」

　オレは相川を困らせる恭介にムカついて
「恭介に言えよ。あいつの事が原因だろ？」と、美帆に八つ当たりしてしまった。

「聖斗！なんでよ。絢音助けてよ。私は今、恭ちゃんじゃなくて、聖斗にお願いしてるの！聖斗は絢音がどうなってもいいの？」

　相川のために、美帆の必死な姿を見て、オレは心がガツンとやられた感じがした。

「わかったよ。任せておけ。」
とは言ったが...いや、やるしかない。
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