きみと3秒見つめ合えたなら

素直に

「あ、でも色々めんどくさいから、春菜とオレがいとこってのは秘密で。聞かれたら、言うんですけどね。」
と、桐谷くんが言った。

「いとこなの?」

 私たちは再び歩きだした。

「そう。いとこ。ちっちゃい時から、オレに懐いてる。まさか東高に来るとは思ってなくて、相川先輩のこと、教えちゃったんだよね。」

「何言ったの?」

「好きな人って。そしたら、春菜、応援するって。で、東高で、しかも陸上部に入ってきたわけ。」

 春菜ちゃんが私を慕ってるのって、そういうのもあったってこと?

「アイツ、結構、先輩の情報くれたりしたんだよ。今ハマってるドラマとか。好きな歌とか。」

「春菜ちゃん、知ってたんだ。」

「でも、先輩の好きな人だけは、わかんないって言ってた。」
 噂のこともあって、そこのガードは私も硬くしていたから。

「で、『ヤキモチ作戦』だって、春菜が言ってたけど、アイツやるよな。大成功じゃん。」

「なに?『ヤキモチ作戦』って。」
< 120 / 129 >

この作品をシェア

pagetop