きみと3秒見つめ合えたなら
 オレは実はモテる。小学校時代にモテる男子は足が速いか、面白いか。
オレは前者で、ちょっとノリもいい。しかも中学からは身長も伸びたので、かなりモテた。
 相川先輩に出会った時も彼女がいた。高校はその次にできた彼女と同じ私立に行こうと思っていた。


 しかし、中3の時、高校生と同じ大会で再び相川先輩を見かけた。2年の春に見たきり止まっていたあの美しい光景が再び動き出す。

 相川先輩は東高のジャージを着ていた。
「東高なんだ」と知ると、オレは志望校に東高を挙げるようになっていた。相川先輩と同じ高校に行ってみたいと。
 
 話したこともない。
 2度見ただけ...なのに、オレは恋に落ちてしまったようだった。

 担任には厳しいと言われたが、猛勉強して公立の東高に入った。

 相川先輩の事が心の奥にあるくせに、惰性で何となく、彼女と付き合っていた。
 一緒に私立に行くと約束していた彼女は私立に行き、交際は続いていたが、この前、「好きな人ができた」と振られた。

 ちなみに振られたのは初めてだった。
振られたことはまだ誰にも言ってない。


 そして、自分から好きになったのも、もしかしたら、相川先輩が初めてかもしれない、ということに気がついた。
...初恋というのだろうか。


 そして、実際に会うと思っていた以上の想いを感じてしまった。

 オレを振った彼女は、そんなオレに気づいていたのかもしれない。


 だけど、そんなオレの想いは、悲しいことに全く相川先輩には届いていない。
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