きみと3秒見つめ合えたなら
 4月。相川先輩に初めて出会った時と同じ様に桜の花びらが舞っていれば、運命的なのだが...
 もう、桜は散り、若葉が茂る頃、ようやく部活に入部する日がやって来た。何度か見学などで足を運んだが、相川先輩とは関わることができなかった。
 だから、オレはこの日を待ちわびていた。

 自己紹介するよう言われたときも、できるだけ先輩の方を見て話した。
 だけど、先輩はどこか遠くを見ているようで...
 その後も毎日部活で何度も、先輩を目で追ってみたが、1秒たりとも目が合わない。
 
 しばらくして、男子の先輩たちも、連絡事項以外、まともに話ししたことない...ということを知った。

 そんな相川先輩なので、ガードが硬く、なかなか話す機会すらない。
 どうやってアプローチするかと考えていた。


 ただ、今日の出来事は自分でも予想外だった。チラッと本音をつぶやいてしまったのを、運良くゴンちゃんが聞き逃さなかった。

 残念だったのはゴンちゃんがオレと相川先輩を同じチームにしてくれなかったこと。

 そしてオレには彼女がいる...事になっているので、ただの冗談で済まされてしまったことだ。

 その日の帰りに同級生にも言われた。
「彼女に怒られるぞー」と。


 流石に同じ手を2回目も実行できるほど、オレの心臓は強くない。

 相川先輩のことをもっと知りたい。
そんな思いは日々募っていく。

 そういえば、この前、相川先輩はサッカー部の試合に行っていたらしい。
サッカー部に好きな人でもいるんだろうか。気になって仕方がない。

 そうだ。学童でよく遊んでくれた美帆ちゃんにそれとなく、聞いてみようか。
確か美帆ちゃんはサッカー部のマネージャーだったはず。

 でも中学に入ってからはあんまり、接点がなかったから、急に聞きに行ったら、怪しくないか?
でも、気になる。

 オレは相川先輩のことになると必死だ。
 オレって何もしなくても、モテるはずなのに...相川先輩は他の女子のようにはいかない。
 
< 20 / 129 >

この作品をシェア

pagetop