きみと3秒見つめ合えたなら
彼の存在
私は、結局、チーム分けをされたあとの記憶はほとんどなく、とにかく早く部活が終わらないかと、そればかり考えていた。。
ただ、冷静になって考えると、それはチームが勝つために、女子で一番速い私が欲しいってことで、別に私のことが好きというわけではない、ということに気づき始めた。
桐谷くんは「好き」だとは言ってない。
ゴンちゃんが勝手に「好きなんか?」
と言っただけ。
桐谷くんは返事をしていない。
それに気付くと、一人で赤面していたことの方が恥ずかしくなってきた。
「絢音、桐谷、どうよ?」
「え?何、急に。どうよって。」
部活後の更衣室で、景子の突然に振りにびっくりした。
「桐谷、なかなか思い切ったこと言うよね〜。今まで、誰と一緒のチームになりたいなんて、そんな発言した人いないよね。でも、絢音も動揺し過ぎだよー。」
景子が着替えながら、面白がって言っている。
「ほんと、恥ずかしいからやめてよー。
なんであんなこというかなぁ。冗談にしても、先輩をからかわないでほしいわよ。」
私は、少し乱れた髪をくくりなおす。
「アハハハ」
景子は何が面白いのか、かなりウケてるようで。
「だよねー。先輩からかうなんて。しかも、この恋愛偏差値ゼロの絢音にちょっかい出すとはいい度胸してるよ。絢音ちゃん、困っちゃったよね〜。」
「もう!景子まで、からかう〜。」
更衣室から出て、校門へ向かう。
「おもしろかったよー。外野はね。」
「実はさ、私...」
校門を出たところで、私は景子に小声で耳打ちする。
「どうした?」
「今日、初めて、あの子が桐谷くんって分かった。」
一瞬の沈黙の後、
「はぁ?今ごろ?いつも挨拶もしてくれてるじゃん。」
景子が本気で驚いているのがわかった。
「う〜ん、いまいち、みんな同じに見える...というか、名前と顔が一致しない...というか。」
あまりに景子がびっくりするので、覚えていないことに罪悪感を覚える。
「え?女子も?」
「女子はみんな覚えてるよ。」
「あ、そう。まだ救いようがあったわ。」景子が呆れている。
だけど、本当なのだ。
部活の時間だけ、しかも元々男子に関わらないようにしてきた私にとっては、ハードルの高い話で。
「でも、私、勘違いして、今、思い出すだけで、あーほんとに、穴があったら入りたい!」
「勘違い?何を?」
「いや〜、ほんとに恥ずかしいんだけど、桐谷くんはチームが勝つために私を指名しただけなのに、ゴンちゃんが変なこというから...」
私は、自分に「恋とは違う」と言い聞かせている。
「あー、あれね。どっちなんだろうね?」
景子がいたずらっぽく言う。
「お疲れさまで〜す」
ドキっとした。桐谷くんだった。
いつもの様に自転車で私達を追い抜いていく。
「おつかれー。」
景子が挨拶返すも、ドキっとしすぎて、声が出なかった。
挨拶、返せなかった。
感じ、悪いよね、私。
そして、「アレが桐谷だよ。」と
景子に念押しされるも、若干の上の空。
桐谷くんの背中は遠くなるのだけど、確かに私の中では桐谷くんの存在が大きくなってくるのがわかった。
ただ、冷静になって考えると、それはチームが勝つために、女子で一番速い私が欲しいってことで、別に私のことが好きというわけではない、ということに気づき始めた。
桐谷くんは「好き」だとは言ってない。
ゴンちゃんが勝手に「好きなんか?」
と言っただけ。
桐谷くんは返事をしていない。
それに気付くと、一人で赤面していたことの方が恥ずかしくなってきた。
「絢音、桐谷、どうよ?」
「え?何、急に。どうよって。」
部活後の更衣室で、景子の突然に振りにびっくりした。
「桐谷、なかなか思い切ったこと言うよね〜。今まで、誰と一緒のチームになりたいなんて、そんな発言した人いないよね。でも、絢音も動揺し過ぎだよー。」
景子が着替えながら、面白がって言っている。
「ほんと、恥ずかしいからやめてよー。
なんであんなこというかなぁ。冗談にしても、先輩をからかわないでほしいわよ。」
私は、少し乱れた髪をくくりなおす。
「アハハハ」
景子は何が面白いのか、かなりウケてるようで。
「だよねー。先輩からかうなんて。しかも、この恋愛偏差値ゼロの絢音にちょっかい出すとはいい度胸してるよ。絢音ちゃん、困っちゃったよね〜。」
「もう!景子まで、からかう〜。」
更衣室から出て、校門へ向かう。
「おもしろかったよー。外野はね。」
「実はさ、私...」
校門を出たところで、私は景子に小声で耳打ちする。
「どうした?」
「今日、初めて、あの子が桐谷くんって分かった。」
一瞬の沈黙の後、
「はぁ?今ごろ?いつも挨拶もしてくれてるじゃん。」
景子が本気で驚いているのがわかった。
「う〜ん、いまいち、みんな同じに見える...というか、名前と顔が一致しない...というか。」
あまりに景子がびっくりするので、覚えていないことに罪悪感を覚える。
「え?女子も?」
「女子はみんな覚えてるよ。」
「あ、そう。まだ救いようがあったわ。」景子が呆れている。
だけど、本当なのだ。
部活の時間だけ、しかも元々男子に関わらないようにしてきた私にとっては、ハードルの高い話で。
「でも、私、勘違いして、今、思い出すだけで、あーほんとに、穴があったら入りたい!」
「勘違い?何を?」
「いや〜、ほんとに恥ずかしいんだけど、桐谷くんはチームが勝つために私を指名しただけなのに、ゴンちゃんが変なこというから...」
私は、自分に「恋とは違う」と言い聞かせている。
「あー、あれね。どっちなんだろうね?」
景子がいたずらっぽく言う。
「お疲れさまで〜す」
ドキっとした。桐谷くんだった。
いつもの様に自転車で私達を追い抜いていく。
「おつかれー。」
景子が挨拶返すも、ドキっとしすぎて、声が出なかった。
挨拶、返せなかった。
感じ、悪いよね、私。
そして、「アレが桐谷だよ。」と
景子に念押しされるも、若干の上の空。
桐谷くんの背中は遠くなるのだけど、確かに私の中では桐谷くんの存在が大きくなってくるのがわかった。