きみと3秒見つめ合えたなら
第2章〜トライアングル

先輩をからかう彼

 桐谷恭介...
 私は今更ながらフルネームを知った。

 私は彼を今まで知らなかった。
 けれど桐谷くんは私をどこかで見ていてくれたのだろうか?
前に友梨が言ってたように。

 いやいや、そうじゃない。
 先輩だから...だよね。

 彼はどうやらモテるようで、中学校から彼女がいない時期はなかったらしい。
今も別の高校に彼女がいるらしい。
全て景子からの情報。
私とは対角線上にいる様な男子だ。
 一番苦手なタイプ。

 ...一体私は何を期待したんだろう。
彼女がいるなら、私の事、好きなはずないよね。そうそう、全員リレーに勝つためだけ。

 うん、私の勘違い。あー、馬鹿みたい。
あの日のことは忘れよう。

 仮に...好意があったとしても、わざわざ苦手なタイプの年下なんて好きにならなくてもよくない?

 私は自分に言い聞かせて、桐谷くんを意識しないようにした。

 あれから、何度か例の全員リレーをしたけれど、わざとなのか、ゴンちゃんは私と桐谷くんを同じチームにはしなかった。

 なんとなくホッとしている、でも、少し残念...みたいな。

 いやいや、一緒のチームになったら、やりづらいし。

 桐谷くんも、その後に
「相川先輩と一緒のチームで!」
なんてことも言わない。
 さすがに何度もいうと、それはもう、ネタの様だし、うまく私も切り返せないってことも理解しているんだろう。

 そして、何事もなく、夏休みは終わりを迎えた。
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