きみと3秒見つめ合えたなら
 次の日の部活で、驚くべき事が起こった。

「全員集合〜!」
ゴンちゃんがみんなを集めた。
その横になぜか早瀬くんが立っていた。

「紹介する。体育祭のリレーで陸上部を追い詰めた早瀬だ。彼には期間限定で陸上部に来てもらうことになった。」
ゴンちゃんが嬉しそうに早瀬くんを紹介した。

「早瀬です。よろしくお願いします。」

「え?どういうこと?」
私は小声で景子に聞く。
「私も知らない。」

 ゴンちゃんは説明をつづける。

 疲労骨折をしている2年の島田くんの状態が地区新人戦までに回復するのが難しいらしい。

 地区新人戦を突破してどうしても県大会へ行きたいため、昨日、2年男子とミーティングし、島田くんが回復するまで、リレーメンバーとして助人で早瀬くんに部員になってもらおう、ということになったそうだ。 

 そして、ゴンちゃんが早瀬くんとサッカー部の顧問にお願いしたらしい。

 早瀬くんはサッカー部優先だけど、余裕があれば、陸上部の練習に参加するらしい。

 体育祭のあの走りにゴンちゃんが将来性を感じたらしく、本当は引き抜きたいくらいだが、地区新人戦までの期間限定でサッカー部には頭を下げた、と言っていた。

 確かに、島田くんが抜けると、地区大会は微妙なところ...だけど、
 早瀬くんを呼ばなくても?と私は思ったが、タイムを取ると、補欠メンバーよりも速かったので驚いた。

 体育祭で一躍時の人となった早瀬くんに、1年生は「カッコいい!」と騒いでいた。そういう話を聞くと、少し心がザワつく。

 間近で早瀬くんを見るのは、サッカー部のお手伝いに行った時以来だと思いながら、早瀬くんを見ていたら、目が合った。

 少しの間、早瀬くんを近くで感じられる。
 
 ちょっと心が踊る...感じがした。

 みんなには内緒だけど。
< 30 / 129 >

この作品をシェア

pagetop