きみと3秒見つめ合えたなら
第4章〜胸騒ぎの春

急接近

 心が晴れないまま、3学期も終わりを迎えた。

 美帆が言うには、あれからも、強引な景子に早瀬くんはウンザリしている...らしい。

 景子に見つからないように裏門から帰るとか、できるだけ、大勢に紛れて帰るようにしているらしい。

「聖斗が景子ちゃんになびくことは2000%ないね。」なんて自信たっぷりに言っていた。

 それを聞いたからと言って、私と早瀬くんの間に何かあるわけでもなく。

 なんとなく、景子と早瀬くんが付き合うことがないのならよかった...なんて、性格悪いよね、私。

 景子とは相変わらずの距離感だけど、日常は過ぎていく。



「では、明日からの春合宿の説明をするぞー。」
ゴンちゃんが春合宿について書かれたプリントをみんなに配る。

 陸上部では春休みに、いつもの学校のグラウンドではなく、少し遠出して、陸上競技場を借りて練習する。

「山崎と相川は1年を連れてきてくれ。あとの2年は悪いが、先に行って、ばあちゃんの手伝いをしてやってくれ。」

 実は宿泊先はゴンちゃんのおばあちゃんが経営する民宿が恒例となっている。
 運良く、その民宿から歩いて15分くらいのところに、陸上競技場がある。

「山崎たちは11時集合。先発隊は10時前くらいに来てやってくれ。じゃあ、忘れ物しないように。」

 去年の合宿は楽しかったけど、今年は気乗りしないなぁ...。

 合宿前にわだかまりをなくしたい。
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