きみと3秒見つめ合えたなら
「景子、ちょっと...」
「何?」
思い切って、声をかけたが、私の中で考えがまとまっているわけではない。
「私、景子とこのままじゃ、嫌なんだ。」
「うん。」
沈黙が続く。私たちはグラウンドが見渡せる階段に座って話し始めた。
まだサッカー部が練習している。暗くて、早瀬くんがどこにいるかはわからないけど。
「絢音は、実際は、どうなの?桐谷と。
つき合ってる...様には見えないけど。」
「つき合ってなんかない。あの日も帰り道、いつもの様に「お疲れさまです」って言われて。景子がいないから、「元気ないですね」って言われて、なんとなく一緒に歩いてた、というかんじ。」
「ふ〜ん。でも、桐谷は絢音のこと好きだよね。」
ズバッと聞いてくる景子に一瞬、たじろぐ。
「そんなことないよ。桐谷くんは『推し』なんてずっと言って、私のこと、からかってるだけだよ。」
桐谷くんはモテるから、女子と下校するくらい、なんてことはない、はず。
「で、絢音はどうなのよ?桐谷なの?早瀬くんなの?」
絶対くると思っていた質問の答えは、何度考えても適切な解答がなくて。
「自分でもわからなくて。好きっていう気持ち?」
「何それ。」
呆れている...だよね。
「早瀬くんも桐谷も「絢音が...」ばっかりでさ、なんか、絢音に負けたくないとかって思ってた。
けど、私もそう思うのもしんどくなっちゃって。
早瀬くんモテるし、絢音以外にもライバルはいるわけだし、もう絢音抜きで向き合おうと思ってる。
前に嫌なこと言ってごめん。絢音のこと敵対視してて、言い過ぎた...というか。今更言っても、取り返しがつかないくらい傷つけたと思ってる。」
実際、あの日言った言葉は、景子の本心なのだろう。だけど、このまま、景子と喧嘩したまま過ごすのは、私は嫌で。
「うん。私が優柔不断というか、はっきりしないのも悪いよね。もう少し、自分の気持ちに向かいあいたいというか。好きって気持ちがわからなくて。ごめん。」
「仕方ないか。初めての恋だもんね。恋愛未経験者にイライラしすぎたわ。
また、前みたいに戻れる?
...無理かぁ。あんな酷いこと言ったもんね。」
景子は遠くを見ていた。
あの日の言葉は忘れられないけど、景子も仲直りを望んでくれているなら、私もそうしたい。
「いいよ、もう。私だって、そういう風に思わせる原因があったんだと思うし。
また、一緒に部活、頑張れるかな、私たち。」
私も言葉を選びつつ、景子に思いを伝えた。
「なるほどねー。そういう優しくて、まっすぐなところが、みんなはまっちゃうのかなぁ...」景子が笑いながら言った。
「なんのこと?」
「なんでもない。明日から、春合宿頑張ろうよ!」
ようやく、心のもやが晴れてきた。
そして久しぶりに、私は景子と帰った。
「何?」
思い切って、声をかけたが、私の中で考えがまとまっているわけではない。
「私、景子とこのままじゃ、嫌なんだ。」
「うん。」
沈黙が続く。私たちはグラウンドが見渡せる階段に座って話し始めた。
まだサッカー部が練習している。暗くて、早瀬くんがどこにいるかはわからないけど。
「絢音は、実際は、どうなの?桐谷と。
つき合ってる...様には見えないけど。」
「つき合ってなんかない。あの日も帰り道、いつもの様に「お疲れさまです」って言われて。景子がいないから、「元気ないですね」って言われて、なんとなく一緒に歩いてた、というかんじ。」
「ふ〜ん。でも、桐谷は絢音のこと好きだよね。」
ズバッと聞いてくる景子に一瞬、たじろぐ。
「そんなことないよ。桐谷くんは『推し』なんてずっと言って、私のこと、からかってるだけだよ。」
桐谷くんはモテるから、女子と下校するくらい、なんてことはない、はず。
「で、絢音はどうなのよ?桐谷なの?早瀬くんなの?」
絶対くると思っていた質問の答えは、何度考えても適切な解答がなくて。
「自分でもわからなくて。好きっていう気持ち?」
「何それ。」
呆れている...だよね。
「早瀬くんも桐谷も「絢音が...」ばっかりでさ、なんか、絢音に負けたくないとかって思ってた。
けど、私もそう思うのもしんどくなっちゃって。
早瀬くんモテるし、絢音以外にもライバルはいるわけだし、もう絢音抜きで向き合おうと思ってる。
前に嫌なこと言ってごめん。絢音のこと敵対視してて、言い過ぎた...というか。今更言っても、取り返しがつかないくらい傷つけたと思ってる。」
実際、あの日言った言葉は、景子の本心なのだろう。だけど、このまま、景子と喧嘩したまま過ごすのは、私は嫌で。
「うん。私が優柔不断というか、はっきりしないのも悪いよね。もう少し、自分の気持ちに向かいあいたいというか。好きって気持ちがわからなくて。ごめん。」
「仕方ないか。初めての恋だもんね。恋愛未経験者にイライラしすぎたわ。
また、前みたいに戻れる?
...無理かぁ。あんな酷いこと言ったもんね。」
景子は遠くを見ていた。
あの日の言葉は忘れられないけど、景子も仲直りを望んでくれているなら、私もそうしたい。
「いいよ、もう。私だって、そういう風に思わせる原因があったんだと思うし。
また、一緒に部活、頑張れるかな、私たち。」
私も言葉を選びつつ、景子に思いを伝えた。
「なるほどねー。そういう優しくて、まっすぐなところが、みんなはまっちゃうのかなぁ...」景子が笑いながら言った。
「なんのこと?」
「なんでもない。明日から、春合宿頑張ろうよ!」
ようやく、心のもやが晴れてきた。
そして久しぶりに、私は景子と帰った。