きみと3秒見つめ合えたなら
 私たちは電車を降りて、改札を出た。

「相川、合宿中、連絡していい?」
「う、うん。」
 今日の早瀬くんは積極的で、私は早瀬くんのペースに飲み込まれていく。

 駅を出た時、ゴンちゃんが車で迎えに来ていた。
「相川、大丈夫か?あれ?早瀬?なんで一緒にいるんだ。」

 どうしよう。
...と思ったら、

「あ、オレ、県代表の合宿でこっち向かってたら、相川が『東湊』なんかで、オレの車両に乗ってきて。
 変なとこから乗ってきたなって思って聞いたら、体調悪くて駅で休んでたっていうので、心配だったんで、降りる駅も一緒なんで付き添ってました。」

 早瀬くん、うまい。
 ありがとう。

「そうか。早瀬、ありがとな。サッカー場か?早瀬も乗ってけ。」

「いや、オレは...」
「遠慮すんな。」
「ありがとうございます。」
と言って、私たちはゴンちゃんの車に乗った。

 体調悪い...私は合宿1日目は見学となった。やたらとみんなに心配されたので、本当に体調が悪いかも、とさえ思えてしまった。

 その夜、早瀬くんからメッセージが来た。

『相川、おつかれー。
無事に合宿合流できた?』

『うん。合流できたよ。
今日は本当にありがとう。』

『相川、元気そうでよかった。
おやすみ。』

『おやすみなさい。』

 すごく、シンプルに終わってしまったメッセージだけど。
 今日1日がギュッとつまっていて、私は、やり取りした画面を見ていたら、なかなか眠れなかった。
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