きみと3秒見つめ合えたなら
 次の日。
 全然眠れなくて、明け方ようやく少し寝れたくらい。

 早朝ジョギング、走れるだろうか。
 でも休むわけにもいかない。
 また体調悪いのかとみんなに心配をかけてしまう。

 だけど、どんな顔して会えばいい?

「おはよう、絢音。昨日、夜どっか行ってた?トイレに行こうと思ったらいなかったから。」

「あ、ちょっと眠れなくて、星見てた。」
嘘がバレないか心臓がバクバクしている。
実は見られてた...なんてことないよね。

「ふ〜ん、昨日ってなんとか流星群?」
景子の言葉全部が、探りを入れられているのではないか、なんて疑ってしまう。

「違うけど。ここ、ビルとかなくてきれいだから。」

「なるほどねー。私もトイレの帰りに見に行けばよかったわ。」
 景子は興味なさげに答えるも、私は思わず動揺してゴホゴホ、咳き込む。

 よかった、景子が星に興味なくて。
 そして、得に何か裏があるように思えない...気がした。

「おはようございまーす。」
少し声が枯れていたけど、声の主はすぐにわかった。
隣の景子に聞こえるのでは?と思うほど更に心臓がバクバクしていた。

「あ、桐谷、おはよう。今日、早いね。」
景子が桐谷くんに声をかける。

「あんま、寝れなくて、そのまま来た感じっす。」
そんなこと言わないでよ。
顔が赤くなるのがわかる。

 早くこの場から去らないと、私耐えられない...と思っていたのに、
「相川先輩は眠れました?」と桐谷くんが聞いてきた。

 ビクッとした私に景子が聞いてきた。
「絢音は昨日、星みてたから、あんまりねてないんだよね。」

「うん、そうかも。」
冷静に...冷静に...。

「へー。星きれいでしたか?」
なんで?
どうしてそんなに絡んでくるの?

「ま、まぁね。」
冷静に...。呪文のように心の中で唱える。

 やっぱり、桐谷くんは私をからかってるのだろうか。キスまでして。
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