きみと3秒見つめ合えたなら
 早瀬くんのことを気にしつつ、過ごす日々のある日。

「おはよう」
「あ、おはよう絢音。待ってたのー。」
 同じクラスサでッカー部のマネージャーをしている親友の美帆が駆け寄ってくる。
 美帆は高校に入ってからできた親友。

「なに?」
「今度さぁ、北高との練習試合があるんだけど、マネージャーのさやか先輩が来れなくって。手伝ってくれない?」

「え?私?
私、サッカー、わかんないんだけど...」
急な提案にびっくりする。

「大丈夫。そんな難しいこと手伝わせないから。聖斗、スタメン出場するんだけどなぁ...」

 ビクっとその名前に反応してしまってる自分にさらにびっくりする。
「な、なんで早瀬くんの話?」

「最近さぁ、絢音は部活中に、時々サッカー部を見てる気がするのよねえ。
誰か見てるのかなぁって、私、観察してたわけ。見てたのってー」

「な、なに?それ。」
 恋愛に対しては探偵並みの威力を発揮する美帆。侮れない。
 かなり動揺する私。顔に出ていないかな?

「サッカー部見てるのは、ボールが飛んできたら危ないからで...」

 陸上部は、グラウンド練習の日は、最悪、サッカー部、野球部、ソフトボール部の間を駆けていかなければならなくて、それらの部活を動きを確認することは、あるけれど...
 
 美帆にはごまかせない?

 必死の言い訳をする私を美帆はニコニコしながら、
「考えといてよね〜」
と、始業のチャイムと同時に、私の肩をたたいて、美帆は自分の席についた。
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