きみと3秒見つめ合えたなら
 1時間くらい座っていただろうか。
まだ抱きしめられた感覚も、耳元で囁かれた感覚も残っている。


「絢音?」
顔を上げると美帆がいた。

「美帆?どうしたの?」
「朝、天気悪そうだったから、電車で部活来てて、今帰るところ。
あ、そういえば、聖斗に会ったんでしょ?合宿前に。」

「あ、うん。」
「それだけ?」

「それだけって?」
「聖斗は喜んでたけど。」

「あ、うん。」歯切れが悪い。

「ま、いいわ。電車来るし、また今度ね。」

 恋をしたこの春合宿は、たぶん、一生忘れないと思う。
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