きみと3秒見つめ合えたなら
 新学期。

 クラス替え。
運良く美帆と同じクラスになれた。
友梨とは別れてしまったのが残念だった。

「絢音!よかったよ~。また一緒なんて、私もう運、使い果たしたかも。」
「美帆、私も。」

 美帆が一緒だと心強い。

「あ、聖斗はB組かぁ。」
美帆が残念そうに言う。 

 今の私は、早瀬くんに会うのが、何となく気まずかったので、違うクラスなのは、少しありがたかった。

 でも、春合宿に行く途中に助けてもらったことだけは、もう一度ちゃんとお礼を言いたいと、思っていた。

 結局、桐谷くんへの答えも保留のまま。

 私は自分の心の弱さを思い知る。どうしても、勇気が出なくて。
.

 そして、桐谷くんに気持ちを伝えられず迎えた始業式の次の日から、私の周りが少しずつ騒々しくなる。
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