聖なる夜に新しい恋を

「今からでも新しいこと始めてみよっかなって思えたのは、今日三田くんと話したからだもの。クリスマスも予定飛んじゃったし、何かチャレンジしてみてもいいかなって」

「そっか。こんなお話でお役に立てたなら何より。じゃあまた今度。年末年始挟むし、次はあけおめかもね」

「そうだね。じゃあ、また。三田くん、おやすみなさい」

「おやすみ、紗礼さん。帰り道、気をつけてね」


 後ろ髪を引かれないように、足早にその場を立ち去った。歩き始めて数十秒、今しがたのやり取りを反芻し、思わず立ち止まる。





(クリスマスの予定、飛んだって……空いてるの!?)


 彼女の爆弾発言。すれ違うサラリーマンに見送られながら、冬の路上で足を止めたまま頭を抱え思案した。

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