エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
「ゆりこさんに会えるの楽しみー!」

 車に乗り込んで、チャイルドシートにしっかり腰掛けた和は、わくわくしているという表情と声で言い、また梓と和臣を笑顔にした。

「楽しみだね。何ヵ月ぶりかなぁ」

 チャイルドシートの横に座り、シートベルトをしながら、梓は『あの頃』を懐かしく思い出した。

 まだ和臣と再会する前。

 二人で埼玉の奥地で暮らしていた頃。

 カフェ【ゆずりは】と百合子にはずいぶんお世話になった。

 仕事もプライベートもすごくお世話になったのに、あっさり辞めて出ていくのは申し訳ない、とためらった梓だったが、その背中を押してくれたのが百合子だった。

「旦那さんと暮らせるなら、それが一番よ。行きなさいな」

 その言葉は梓の心に染み入って、つい涙が滲んでしまったくらいだ。

 オーナーが『おふくろはシングルマザーで苦労した』と言った通り、百合子もシングルマザーで息子を育てた身。

 しかも百合子のほうは死別だったというのだから、余計に悲しかったし、苦労の度合いもずっと違っただろう。

 なのに自分の幸せを応援してくれた。

 なんと優しいひとだろう、と梓は感じ入ってしまったのだ。
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