【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

 メルシアは、思いっきり地面に倒れた。
 幸い、慌てたラティが自らの体を下敷きにしたせいで、まったく痛くはなかったが、泥だらけになってしまった。

「キュウウン」

 しっぽと耳を限界までペタリと下げたラティ。
 むしろ、メルシアは下敷きになったラティのほうが心配なくらいだ。
 それでも、その心を素直に伝えてくるラティは。

「かわい……」

 ラティの頭を撫でようとした瞬間、ふとメルシアの脳裏で、ラティに以前の寝起きのランティスが重なってしまった。

『――――そうか。好きだ』
「えっ」
『好きだ。メルシアが近くにいて嬉しい。好きだ』
「ふぁ!」

 動揺のあまり、ラティから距離をとるメルシア。
 不思議そうに、こちらを見つめているラティ。

(い、今は、ランティス様は、ラティなの。狼なの。だから、意識しすぎてはいけないわ!)
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