【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

 おずおずとこちらを伺う上目遣いのラティ。
 ラティこそ、思いっきり泥だらけだ。

「――――お風呂に入ろうか」
「ワフ!」

 メルシアは、ラティをお風呂場に連れて行って、わしゃわしゃと洗う。
 真っ白な毛並みに、真っ白な泡ぶく。まるで羊のようなラティにメルシアは無邪気に笑う。

 メルシアは、狼であるラティを洗っただけのつもりだった。

「きゃ! ここで水を切ったら!」

 ぶるぶると水分を飛ばすラティ。思わず顔を手で隠したメルシア。
 けれど、その直後にラティがランティスの姿に戻り、メルシアは自分の失策を悟った。

 もちろん、魔法の影響か、ラティから人の姿に戻った時、いつだってランティスは服を着たままだ。
 ラティを洗っていただけのメルシアも、もちろん服を着たままだ。

 だから、何も問題ないはず……。

 それでも、二人は夕食まで、まともに視線を合わせることが出来ないまま、気不味い時間を過ごしたのだった。
< 143 / 217 >

この作品をシェア

pagetop