【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
とりあえず、少し気まずい、夕食を終える。
汚してしまった水色のドレスの代わり用意されたドレスは、淡いピンク色だった。
光魔法の魔力を抜き取られて、運び込まれた時には、服がなくてランティスのシャツに着せ替えられたのが嘘みたいだ。
「ランティス様、こんなにたくさん、いつの間に揃えたのですか?」
夕食後、ランティスに連れられて来たクローゼットルームには、ドレスが、所狭しと並んでいる。
「ああ、デザインが好みではなかったか? 今度は、既製品でなくオーダーメイドで作ろう」
「えっ? そういう意味じゃないです」
魔獣の脅威により、貧乏になってしまったメルセンヌ伯爵家。だから、現在のメルシアは、ドレスなんて必要最低限しか持っていない。
「あの、婚約に際して、メルセンヌ領に支援をしていただいて、持参金もなしなのに、支度金まで……。私は、ランティス様に何もしてあげられないのに」
「…………すまない」
ランティスが、眉を寄せたのを見て、メルシアはコテンッと首を傾げた。
「えっ、なんで謝るんですか?」
「資金援助は、メルシアの枷になるとわかっていながら、少しでも俺に縛られてくれたらいいという、自分勝手な気持ちでしたことだ」
「ランティス様…………」
今になって思えば、すれ違いが続いていたのかもしれない。
メルシアは、そこまでしてくれたランティスが、婚約破棄を申し出た時のことを、思い出していた。