【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

 ***

「あっ、ああああ!」
「ど、どうしたメルシア?!」

 ぼんやりしていたと思ったら、急に大きな叫び声を上げたメルシア。何事があったのかと、焦るランティス。

(私っ、この婚約が嬉しかったって、一回も言ってない! しかも、ラティを前に言った言葉、ランティス様本人に言ったのと同じだったのに!)

 どこか、メルシアの中には、婚約破棄を申し出たランティスに対して「どうして」という小さな棘が残っていた。
 けれど、よくよく思い返してみれば、完全に悪いのはメルシアだ。

「あっあの……ランティス様」
「ああ、どうしたんだ? メルシア、俺にできることがあるなら」
「はっ、はい。聞いてください!」

 不思議そうにランティスが、メルシアを見つめた。真剣な表情で、メルシアもランティスのオリーブイエローの瞳を見つめ返す。
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