【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

「私、婚約の申し出をもらった時、明日死ぬのかなって思ったんです」
「そ、そんなに嫌だった、のか?」
「違います、違いますよ! 憧れていたランティス様に、婚約の打診を受けて、明日死んじゃうかもと思うくらい幸せで」
「え……。でも」

 たぶん、ランティスは、メルシアのことを思いやるばかりに、見えていないことがたくさんある。もちろんメルシアも。

「私、ランティス様は、政略としての婚約を嫌々受け入れたのだと思っていたんです」
「っ、そんなはずないだろう!」
「今ならわかります。でも、あの時は……」
「そ、そうか……。婚約、嫌がられていなかったのか……」

 メルシアの手を握ったランティスの両手が、ものすごく熱い。そういえば、人の姿のまま2時間近く経っていることに、二人は今更ながら気がつく。

「ワフ?」

 メルシアの足元に擦り寄るラティ。

「今日は、ちゃんと最後まで伝えられたね。ラティ?」
「ワフッ!」

 尻尾をぶんぶん振っているラティの太い首に抱きついて、メルシアは満足げに笑ったのだった。
 
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