【甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。】番外編その2「バー・アズリッシモにて」
「それだけ、亮介にとって、あなたが大事だってことだと思うよ」

 栗原さんは真顔になった。
「奈月さん」
「はい」
「亮介のこと、よろしく頼みます。こいつは俺にとって、変な意味じゃないけど、親友以上の存在だから」

 栗原さんは亮介さんとはじめて会ったころの思い出を話してくれた。
「詳しい話はしないけど、俺は親に愛されていなかった子供で、自分の回りは敵ばかりだと思ってた。だから幼稚園でも気に入らないことがあるとすぐ暴れるし、友達にも手を出す、先生も匙を投げるほどの問題児だったんだ」

 ウイスキーのグラスを片手に、栗原さんは訥々と語りつづける。
 わたしは何も言わず、耳を傾けていた。

「そんな俺に、唯一かまってくれたのが亮介だったんだよ。休み時間になると、ボール持ってきて『かいくん、サッカーしようよー』って」

 わたしは思わず笑みを浮かべた。
 亮介さんの子ども時代が、ありありと頭に思い浮かんで。
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