意味不明彼氏
「とにかくここでは食わねぇからな!」
「じゃぁ、蓮だけ一人でどっか食いに行けば?あー、可愛い女の子とでも行けばぁ?」
あたしは鼻を鳴らして、勝ち誇った笑みを浮かべた。
「お前は、牛と俺どっちを選ぶんだよ…」
「そんなの牛様に決まってるじゃないの」
今は、ね。
きっと食べ終わったら、蓮を求めるかも…。
なーんてね。
蓮は唇を噛みしめて、頭を激しく掻く。
どうやら、蓮は冗談を本気だと思っているようだ。
やっぱり、蓮は可愛い。
素の蓮って、ド天然すぎるよ……。
「わかったよ……」
蓮の声が語尾が近付くにつれ、小さくなっていく。
「やったぁー!」
蓮のお母さんは持っていたオタマをブンブン振り回す。
…蓮とは、本当に正反対だ。
「お姉ちゃーん!お姉ちゃんは、央の隣ねー!」
どうやら、あたしは央ちゃんに気に入られた様子。
あたし、実は昔から子供になつかれるんだよね。
そして、それがエスカレートして最終的には奴隷になった事もあったっけ…。
あたしは央ちゃんの隣にある椅子に腰をおろす。
蓮はふて腐れた表情で、あたしの向かいの席に座った。