国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「はい。よろしくお願いします」
「それで、だ。フローラ。君は、この国の政略の一つでそのクリスと付き合っているわけだが、そろそろ結婚という話まで出ているのだろう?」
 今日のアダムは苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべていなかった。
「あ、はい」
「一か月、休みを与えるから、さっさと済ませてこい。戻ってきたら、こき使うつもりだから、そのつもりで。上司命令だからな」
 アダムのその言葉に、フローラは「ありがとうございます」と頭を下げる。
「ということは、私もですね?」
 クリスはノルトを見る。
「ああ」
 さすがにここで、クリスに休みを与えないとノルトが冗談でも口にしたら、彼が大暴れすることは、誰でもわかるだろう。
「ま、お前たちの休暇は、陛下からの命令でもあるからな」
 ノルトが笑いながら言った。やはり、全てはあの世話焼きおじさんのせいだったようだ。
「君たちがうまくいけば、この政策も次から次へと進めるつもりらしいからな」
 ノルトの言葉を聞いたブレナンは、ははっと笑っていた。

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