国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「はい、十日ほど前。呼び出されたときにお会いしただけです」
「そうか」
 アダムは呟く。
 だから、宰相があんなことを言っていたのだろう。二人の休みを合わせて欲しい、と。
「恐らく、だが。フローラ、君の仕事が休みの日は、あのクリス殿も仕事が休みのはずだ。むしろ、そうなるよう調整をする」
「はあ」
「だから、仕事の休みの日は、できるだけクリス殿と過ごすように、と」
「それは、団長からの命令ですか?」
 いや、とアダムは大げさに首を横に振る。
「俺からの命令ではない。宰相からの言葉を借りると、陛下からの命令だ」
 それを聞いたフローラは「はい」としか言いようがなかった。
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