月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
「え、クロンクヴィストの王族は金色の目をしているんですか?」
「ええそうよ。まあ、王族全員じゃないけれど、クロンクヴィストの王族は今も古い血統を引き継いでいてね。<金眼>はその証で、それを持って生まれた者が王位を継ぐらしいわ」
「へ、へぇ〜〜……。私、全く知りませんでした」
聖女や王妃候補として多忙だったとは言え、隣国の王族について知らなかったのは流石に恥ずかしい。
「ああ、そりゃ知らなくて当然よ。<金眼>の魔物なんて最近は滅多に現れないし、クロンクヴィストでも百年ぶりに<金眼>持ちの王族が生まれたって話だもの。でもねぇ……」
イロナはそう言うと、少し困った表情になる。
「何か問題があるんですか?」
「それが、<金眼>を持って生まれたのが第二王子で、側室の子らしくて。王位継承で随分揉めているらしいのよね。私は優秀な王子なら生まれは関係ないと思うけど。貴族の権力争いまで絡むと複雑になっちゃうわね」
「ほぇ〜〜……。イロナさんってすごく物知りなんですね……」
王室の内情はその国の沽券に関わるため、基本秘匿されている。
それなのにイロナが王位継承権争いのことまで知っていることにティナは驚いた。
「ええそうよ。まあ、王族全員じゃないけれど、クロンクヴィストの王族は今も古い血統を引き継いでいてね。<金眼>はその証で、それを持って生まれた者が王位を継ぐらしいわ」
「へ、へぇ〜〜……。私、全く知りませんでした」
聖女や王妃候補として多忙だったとは言え、隣国の王族について知らなかったのは流石に恥ずかしい。
「ああ、そりゃ知らなくて当然よ。<金眼>の魔物なんて最近は滅多に現れないし、クロンクヴィストでも百年ぶりに<金眼>持ちの王族が生まれたって話だもの。でもねぇ……」
イロナはそう言うと、少し困った表情になる。
「何か問題があるんですか?」
「それが、<金眼>を持って生まれたのが第二王子で、側室の子らしくて。王位継承で随分揉めているらしいのよね。私は優秀な王子なら生まれは関係ないと思うけど。貴族の権力争いまで絡むと複雑になっちゃうわね」
「ほぇ〜〜……。イロナさんってすごく物知りなんですね……」
王室の内情はその国の沽券に関わるため、基本秘匿されている。
それなのにイロナが王位継承権争いのことまで知っていることにティナは驚いた。