月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

占い

 王都から出立してから、初めての新月を迎えた今夜、ティナはようやくイロナに占って貰うことになった。

 以前もイロナはティナを占おうとしたのだが、占おうとする度に邪魔が入り、結局占うことが出来なかったのだ。

「うわぁ……! これで占うんですね……すごく不思議……!」

 イロナから占いに使う石を見せて貰ったティナは、石に刻まれた古代アルカナ文字に興味津々だ。

「その石は<アンズーツ>……言葉や交流を司る文字ね。交流を通じて知識や情報を得られるという意味があるわ。丁度今の状況ね」

「あっ! 本当だ! 今正に占って貰う所ですもんね! うわぁ! すごいなぁ!」

 何となく取り出した石なのに、既に現在の状況を表している文字に興奮する。

「じゃあ、何が知りたいのかしら? それによって選ぶ石の数が違うのだけれど……」

 イロナは占う事柄によって、石の数や並べ方が違うのだと説明する。

 単に「はい」か「いいえ」で知りたければ石は一つでいいし、「結果」と「対策」が知りたければ二つの石を選び、石の意味を読み解くのだという。
 他にも「過去・現在・未来」が知りたければ三つ、それに加え「障害」や「解決方法」など、知りたいことが増えるごとに石の数も増えていく。
 しかし石の数が多ければ良いということはなく、占いの目的に合わせて最適な石の数を選ぶ方が的中率は上がるのだと、イロナはティナにわかりやすく教えてくれた。
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