月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
 ”幻の花”と呼ばれている月下草の自生地や栽培方法が、そう簡単にわかるはずがないのはティナも理解している。でも占いの結果に少しの可能性があるのなら、諦めたくない、とティナは思う。

「そうねぇ。まず「結果」から見ると、この石は<フェイヒュー>。豊かな実りと富を意味する文字ね。今までしてきた努力が報われて、豊かになるという暗示よ。結果だけ見れば、ティナちゃんのやりたいことは成功するでしょうね」

「……っ! 本当ですか……!?」

「ええ。ティナちゃんが努力すれば物事が好転し、良い結果として実を結ぶことになるってことね。その過程で探しものも見付かると思うから安心して?」

「良かった……!!」

 イロナの占い結果にティナは喜んだ。それと同時に内容が的中していることに畏怖の念を抱く。

「それで、その良い「結果」を導くための「対策」だけれど、<ライドゥホ>の文字が出ているわ。これは”車輪”を表す文字で、移動や旅を意味するの。距離の移動を伴わなくても、積極的な行動全般を司っているから、とにかく動くこと、早めの行動が良いという暗示になるわね」

「すごい……! それって、正に今のこの状況ですよね」
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