月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
 国中が<聖女>の降臨に湧く様子に、フレードリクも<聖女>がどのような少女なのか知りたいと思うようになる。

 通常<聖女>は神殿奥深くで守られ、人前に姿を現さないと言われているが、新しい<聖女>は束縛を嫌い、隙を見ては神殿を脱走し、大神官を困らせているという。
 今までのイメージを覆す、新しい<聖女>の噂話を聞いたフレードリクは、ますます<聖女>に会いたいと思うようになる。

 <聖女>と対面する機会はそうそう無いと思っていたフレードリクであったが、その機会は意外と早く訪れた。聖霊降臨祭である。

 年に一回、神殿で執り行われる重要な儀式である聖霊降臨祭には、王族の参加が認められている。
 いつもは不参加だったフレードリクだが、その年の聖霊降臨祭には当然のことながら参加した。

 ──そしてフレードリクは、そこで初めての恋に落ちることになる。

 お転婆だと思っていた<聖女>は、噂と違い儚げで清楚な雰囲気を纏う、凛とした立ち姿の美しい少女だったのだ。

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