月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
「そうですね、恐らく学院で一番だった可能性がありますね」
魔力保持者と言えば同級生のトールもかなり魔力量が多かった。王族であるフレードリクよりも遥かに多かった気がする。それこそアンネマリーと同じぐらいに。
「それでもティナには遠く及ばないだろうけどね。その令嬢もこれから大変かもしれないね……っと、そうだ。ティナに渡したいものがあるんだった。一緒に上に来てくれないかな?」
「……あ! は、はい! わかりました!」
思わずトールのことを思い出してしまったティナは、慌てて頭の中からトールのことを消去する。
もう会うことがない相手なのにふとした瞬間、トールのことが頭をよぎってしまう。ティナにとって彼の存在は予想以上に大きいのかもしれない。
ティナは雑念を取り払いながらベルトルドの後をついて行き、そして昨日と同じようにギルド長の執務室へと入る。
するとベルトルドが机の引き出しをゴソゴソと漁り、何かを取り出した。
「えっと、ティナが今まで討伐してきた魔物の素材があっただろう? それを換金した分がこれだよ。ざっと金貨二百枚ぐらいだね」
ベルトルドはそう言うと、膨らんだ革の袋を机の上に置いた。
置いた瞬間、ズシッとした音と金貨が擦れる音がして、かなり多い金額が入っていることがわかる。
魔力保持者と言えば同級生のトールもかなり魔力量が多かった。王族であるフレードリクよりも遥かに多かった気がする。それこそアンネマリーと同じぐらいに。
「それでもティナには遠く及ばないだろうけどね。その令嬢もこれから大変かもしれないね……っと、そうだ。ティナに渡したいものがあるんだった。一緒に上に来てくれないかな?」
「……あ! は、はい! わかりました!」
思わずトールのことを思い出してしまったティナは、慌てて頭の中からトールのことを消去する。
もう会うことがない相手なのにふとした瞬間、トールのことが頭をよぎってしまう。ティナにとって彼の存在は予想以上に大きいのかもしれない。
ティナは雑念を取り払いながらベルトルドの後をついて行き、そして昨日と同じようにギルド長の執務室へと入る。
するとベルトルドが机の引き出しをゴソゴソと漁り、何かを取り出した。
「えっと、ティナが今まで討伐してきた魔物の素材があっただろう? それを換金した分がこれだよ。ざっと金貨二百枚ぐらいだね」
ベルトルドはそう言うと、膨らんだ革の袋を机の上に置いた。
置いた瞬間、ズシッとした音と金貨が擦れる音がして、かなり多い金額が入っていることがわかる。