月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

金眼


 宮廷魔法師のフェダールによって、クロンクヴィストの王宮に戻ったトールは、枯渇した魔力と衰弱した身体を癒すため、しばらく安静にしなけらばならなかった。

 目が覚めたら既にクロンクヴィストの王宮で、ティナとちゃんとした別れが出来なかったことに心残りがあったものの、彼女との再会の約束を果たす日を思い浮かべながら、トールはこれから自分は何をするべきなのか考えた。

(もっともっと強くならなくちゃ……! ティナを守るためには剣も魔法も鍛えないと!)

 トールは二度と大切なものが奪われないように、誰よりも強くなろうと決心する。

 そしてその決意通り、トールは王国最強とされている騎士団長に剣の特訓を、宮廷魔法師のフェダールに魔法を習い、更に勉学にも精を出した。

 元々優秀なトールはメキメキと頭角を現していき、そんなトールを誰もが「次期国王に相応しい」と褒め称えた。

 正直、トールは権力に興味はなかったが、それでも味方は多い方が良いと考え、貴族たちに自身の能力を認めさせていく。

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