月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

再会


 ティナが学院に入学すると知ったトールは歓喜した。

(やっと、やっとティナに会える……!!)

 いつも神殿の中にいるティナに会うのは至難の業で、会話を交わすなどほぼ不可能であったが、学院なら級友として接することが出来る、と思ったトールは早速留学生として入学することにする。

 その頃にはもう後継者教育をほとんど終えていたトールには、十分時間があった。だから三年ほど他国に留学しても、何の問題はないと思っていたのだが……。

「トール! セーデルルンド王国に留学するって本当かい?!」

「トール様! なぜ留学など……っ!! あんな学院へ留学しても、何も得ることなどありませんぞ!」

「その通りだよ! 勉強ならこの国でも出来るじゃないか! だけど、トールがどうしてもというのなら、僕も一緒に留学するよ!」

「トール様やフロレンツ様が留学されたらその間、この国はどうなるのですか!?」

「それ以前にトール様が留学されると世間に知られたら……希望者が殺到してしまうのでは?」

「「「「……確かに!」」」」

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