月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
同行者
トールが一晩中ティナを探してくれていた──その事実に、ティナの心は喜びに満たされる。
もう会えないのだと残念に思っていた相手が、必死になって自分を探してくれたのだ。それが嬉しくない筈はない。
「……探してくれて有難う。私も最後にトールとちゃんとお別れしたかったから、すごく嬉しい」
ティナがトールに向かって微笑むと、一瞬驚いた気配がした後、彼が悔しそうに言った。
「俺が君を探したのは、お別れの挨拶をするためじゃない!」
「……えっ」
トールの辛そうな雰囲気を感じ、ティナの胸がちくりと痛む。まさか自分が姿を消したことで、ここまでトールが傷付くとは思わなかったのだ。
「たとえ離れ離れになっても、君とは何かの形で繋がっていたかったんだ。だから突然いなくなって驚いたし、どうしても君に会いたかった」
まるで告白のようなトールの言葉に、ティナは自分の顔が赤くなっていることを自覚する。
「……っ、そうなんだ! そんな事言って貰えるなんて嬉しいな! あ、ところで、よく私がここにいるってわかったね。誰にも見つからないように来たつもりだったのに!」
勘違いしそうな自分を誤魔化すかのように、ティナはトールが冒険者ギルドに辿り着いた理由を聞く。
ティナがここに来た時はまだ授業が残っていたし、貴族達はこの辺りに足を踏み入れることは無いと思っていたのだ。
もう会えないのだと残念に思っていた相手が、必死になって自分を探してくれたのだ。それが嬉しくない筈はない。
「……探してくれて有難う。私も最後にトールとちゃんとお別れしたかったから、すごく嬉しい」
ティナがトールに向かって微笑むと、一瞬驚いた気配がした後、彼が悔しそうに言った。
「俺が君を探したのは、お別れの挨拶をするためじゃない!」
「……えっ」
トールの辛そうな雰囲気を感じ、ティナの胸がちくりと痛む。まさか自分が姿を消したことで、ここまでトールが傷付くとは思わなかったのだ。
「たとえ離れ離れになっても、君とは何かの形で繋がっていたかったんだ。だから突然いなくなって驚いたし、どうしても君に会いたかった」
まるで告白のようなトールの言葉に、ティナは自分の顔が赤くなっていることを自覚する。
「……っ、そうなんだ! そんな事言って貰えるなんて嬉しいな! あ、ところで、よく私がここにいるってわかったね。誰にも見つからないように来たつもりだったのに!」
勘違いしそうな自分を誤魔化すかのように、ティナはトールが冒険者ギルドに辿り着いた理由を聞く。
ティナがここに来た時はまだ授業が残っていたし、貴族達はこの辺りに足を踏み入れることは無いと思っていたのだ。