月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
 自生している植物を確認しながら散策していると、横で一緒に歩いていたアウルムの足がぴたりと止まる。

「……アウルム?」

『向こうに誰かいるのー』

「えっ?!」

 アウルムはずっと先の方を見ているようだ。ティナがその先を見ても何も見えないから、視覚ではなく音や匂いで気付いたのかもしれない。
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