月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
「その協力者はよほど俺のことが気に食わないんですね。ちなみに俺のことをなんて言っていましたか?」
「そうだ!! お前を殺してやりたいほど憎んでおったわ!! その金色の目が忌々しいんだと!! まるで獣のようで悍ましいともな!!」
「……なるほど。貴重な情報を有難うございました」
「は? え? ぐぎゃっ」
トールは元当主にお礼を言うと、首にツヴァイハンダーを突き立てた。
元当主の首から血が溢れ出て、凍って真っ白な地面を真っ赤に染めていく。
トールは死体に構わず、馬に跨って再びフラウエンロープへと向かう。
死体をわざと放置したのも、元当主の背後にいる人物への警告だ。
元当主から得た情報でトールは元当主の協力者──いや、協力する組織に当たりをつけた。
「──アコンニエミ聖国、か……」
トールがぽつりと呟いた。
アコンニエミ聖国は、ラーシャルード教の総本山である宗教国家だ。
──ある意味、ティナを不幸にした原因の一つでもある。