月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

「まあ、しばらくはここで我慢しておくれ。必要なものがあれば用意するでな」

「我慢どころか私にはすっごく勿体無いです! 本当にここをお借りしてもいいんですか?」

「ふぉっふぉっふぉ。もうここは嬢ちゃんの部屋じゃからの。好きに使って貰って構わんよ」

「あ、有難うございます……!」

 どうやらノアは部屋を貸すのではなく、ティナにくれるつもりのようだ。
 さすがに貰うのは……と思ったティナだったが、ノアの好意を無碍にするのも気が引ける。
 その代わり、自分ができることなら何でも手伝おう、と心に決める。

「あの、じゃあここに住まわせていただく間、料理や家事は私がやりますね!」

「ふぉっふぉっふぉ。そうかそうか。嬢ちゃんの料理は美味いから嬉しいわい。すまんが頼んだぞ」

「はい! お任せください!」

 ティナは仕事を与えられて安心した。ただ享受するだけの生活は性に合わないのだ。

 それからティナは、ノアに料理を振る舞ったり、時には森での採集を手伝ったりした。
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