辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 そう言うと、コウさんは楽しそうに笑い、外国人男性に仲がよさそうなところを見せてから離れた。

「ここは狭いからまたやつに会うだろうな」

「しつこい男性ですね」

「同じツアー客として君になにかあったら大変だ。一緒に行動するよ」

「い、いいんですか?」

 高原鉄道のときもほとんど話をしなかったので、一緒に行動するといっても空気みたいな感じかもしれない。あの外国人男性につきまとわれるより何十倍もいい。

「気の進まないことは言わないから。それで、どこへ行こうとしていたんだ?」

「野鳥園です」

「じゃあ、こっちだ」

 コウさんは軽く方向を手で示して歩き出す。

「来たことがあるんですか?」

「ああ。数年前に」

「あ! 旅行会社ですもんね」

 ひとり納得してうなずく。来たことがある人がいれば観光も心強い。

 野鳥園ではオーストラリアに生息する約六十種類の鳥がほぼ放されており、人なつっこいのもいた。綺麗な色の鳥や珍しい鳥など、さまざまな鳥をスマホで撮った。

 やはりコウさんはそばにいるだけで、私が話しかけたときに答えるくらいで、案内人兼あの外国人男性よけみたいだ。

 野鳥園の近くには蝶々園や動物園があり、どれも小規模でサッと見て回れるようだ。

「コウさん、次は動物園でいいですか?」

「バタフライサンクチュアリはいいのか?」

 蝶々園の案内板を示される。

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