辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
「蝶は苦手で……。コウさんが見たいようであればご一緒します」

「いや、とくに見たいわけではないから動物園へ行こう。コアラを抱っこして写真が撮れるはずだ」

 コウさんに促され、コアラガーデンズに入場した。

 すべてのチケットはツアー費から出ているので、バタフライサンクチュアリも見ることができるが、昆虫類は鳥肌が立つくらい苦手なので避けるべき場所だ。

 コアラと記念写真を撮るのにツアー客が並んでいるが、それほど待たなくても済みそうだ。

「コウさん、待っていてもらってもいいですか?」

「もちろんだ」

 十分ほどで順番が来て、コアラを抱っこしている男性が私を手招きした。撮影の場所へ歩を進めようとしたとき、視線を感じてそちらへ向ける。

「行ってき……コウさんも入ってください」

「え? いや、俺は――」

「あの外国人男性がいるんです。お願いします、恋人同士みたいに一緒に写ってください」

 思わず躊躇する彼の腕をガシッと掴んで、撮影ブースに歩を進めた。

 連れなら一緒に写真を撮るのが普通だと、きっとあの外国人は思うだろう。

 コウさんは小さくため息を漏らしてカメラの前に立った。

「どちらが抱っこしますか?」

 スタッフに尋ねられ、彼は即座に「彼女に」と言う。

「赤ちゃんを抱くように、お尻に優しく手を添えてください」

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