辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 スタッフは私に説明をして、ぬいぐるみのようなコアラを抱っこさせた。

 思ったより毛はやわらかく、獣臭もなく、重みを除けば本当にぬいぐるみみたいにおとなしくてかわいい。

 カメラに向かって笑って、あっという間にコアラはスタッフに引き取られ、私とコウさんはその場を離れる。

 気づけば外国人男性の姿はなくなっていた。

「コウさん、すみませんでした」

 謝る私に彼は口もとを緩ませる。

「別に謝る必要はない」

 振り回してしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 その場で〝AUSTRALIA KURANDA〟とポップに描かれたA4サイズの台紙に、先ほど撮った写真が貼られて渡される。

 代金を支払うためにコウさんが財布を出したので、慌てて制した。

「自分で払います」

 でも彼はこういったことに慣れているのだろう、私が財布を出そうとしている間にスマートに支払いを済ませてしまった。

「気にしないでくれ。それにひとりで撮るはずだったのに、俺が写っているから不本意だっただろう。もう一枚撮りに行く?」

「いいえ。旅行の記念になりましたから」

「彼氏に見られると困るんじゃないか?」

「……とくに見られて困る相手はいません」

 ふいにお見合い相手の才賀さんを思い出す。現れなかった時点で、政略結婚の話はなくなったのだと思う。

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