辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 継母はコーヒーより紅茶を好んで飲んでいる。日本にも売っている銘柄だけれど、パッケージを喜んでもらえそうだ。

 チョコレートは船内で食べるため自分用に買った。

「お買い物にまで付き合ってもらっちゃってすみませんでした」

「腹が減らないか? ランチを食べに行こう」

 彼が私と一緒にいて楽しいのかわからないけれど、こちらとしてはひとりでいるよりも寂しくないのがうれしい。クルーズ船へ戻ったら、またひとりになるから。

「はいっ」

 私たちはマーケットの片隅にあるお店へ入った。入口の前にカラフルなプラスチックのテーブルと椅子が何セットか置かれてあるオープンカフェのようなところだ。

 集合時間まであと約三十分なので、すぐに食べられるオーストラリアンビーフのパテの入ったハンバーガーとアイスコーヒーを頼んだ。

 サイパンでもハンバーガーだったことを思い出し、そしゃくしつつ笑みを漏らす。

「なにがおかしいんだ?」

 尋ねられて、ガムシロップとミルクをたっぷり入れたアイスコーヒーで流し込み口を開く。

「サイパンでもお昼にハンバーガーを選んだんです。クルーズ船ではおいしい料理ばかりをいただいているので、食べたくなるんですよね」

 船内ではサンドイッチなど軽食も選べるが、今までそれほど口にしていない。

「コウさんは、船酔いをしていたときはなにを食べていましたか?」

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