辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 生きた心地がしなかったゴンドラは徐々に地面に近くなっていき、それとともに気分がよくなるはずなのに胃の辺りに違和感があった。でも、ゴンドラを離れればよくなるだろう。

「大丈夫か?」

「はい……やっと人心地がつきました。ありがとうございました。おかげでパニックにならずに済みました」

 コウさんに握られていた手をパッと離して、トートバッグからハンカチを出して差し出した。

 私の手のひらが汗ばんでいたので、拭いてもらおうと思ったのだ。

「いいよ。平気だ」

「……すみません」

 ハンカチをトートバッグにしまったとき、ゴンドラがゆっくり乗り場に到着して、コウさんが先に降りて手を差し伸べられる。

 紳士的な動作に鼓動がトクンと跳ねたが、気にしないようにして彼の手を支えにゴンドラから降りた。



 クルーズ船に戻ってきたのは十六時近かった。

 部屋に入って肩から下げていたトートバッグを降ろし、ソファの上に置く。

 免税店で買いたいものはとくになく、ショーウインドーに飾られているハイブランドのバッグを見ていただけだった。

 コウさんとは免税店に到着し、バスを降りたところで別れたので、彼がどこにいるのかはわからなかった。クルーズ船に向かうバスにも乗っていなかった。

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