辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 突然現れた彼に驚きを隠しつつ、プルプルと首を左右に振る。

「なんだ。もしかして俺の姿が見えずにがっかりしていたとか?」

「え? そ、そんなんじゃないです!」

 コウさんの姿を捜したし、見あたらなくて気持ちが沈んだのも否めないが、慌てたせいで思わず強く言ってしまった。

 すると、コウさんは軽く握った片方の手を口にあてて「クックッ」と喉の奥で笑う。

「全力否定だな」

「そ……いうわけでは……急に現れたので、驚いたから……」

 しどろもどろになる私にコウさんは麗しく微笑む。

「まあいい。今日も祖父母とは別行動なのか?」

「あ……はい。そうなんです。キュランダ村の話をしたら、急遽行くことになって。こっちはアクティビティばかりなので」

 嘘をついているのがうしろめたいが、まだ彼にすっかり気を許したわけではないので、気にしないことにする。

「コウさんもグリーン島ツアーに参加だったんですね」

「ああ。せっかくだから、綺麗な海でシュノーケリングでもしたいと思ってね」

「ですよね。グレートバリアリーフのような美しい海ならとくに。それにしても、旅行会社のお仕事は大変だと思いますが、こういった時間も過ごせていいですね」

 彼の場合、船酔いで大変だったと思うが。

「まあな……ところで、頼みがあるんだが」

「頼み? なんでしょうか?」

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