辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 首をかしげて、整った顔の彼を見つめる。

「恋人役をしてくれないか?」

「ええっ? 恋人役……?」

〝恋人役〟と聞いて、心臓がドクンと跳ねた。

「ああ。クルーズ船のある女性客が頻繁に誘ってくるんだ。その気がないから恋人がいると言って断っているんだが、あきらめてくれなくてね。このツアーにも参加している」

 稀に見る容姿端麗のコウさんなら、近づきたくて女性から声をかけるのもうなずける。でも、女性の扱いがスマートな彼なら簡単に解決できるのではないだろうか。

 もしかしたら本当に恋人がいるのかもしれない。ううん、彼のように素敵な人なら絶対にいるだろう。

 見せかけでも彼の恋人役が私に務まるのか少し不安はあるけれど、ひとりでいてもつまらないのはたしかで、一緒に過ごせばきっと楽しいだろう。

「いいですよ。昨日助けてもらいましたし。お礼も言えずにすみませんでした」

「礼なんていらない。昨日は君で、今日は俺ってことで。じゃあ、よろしく」

 節のある男らしい手が差し出されて握った。

「よろしくお願いします」

 彼は白いTシャツと膝下までの黒のハーフパンツを履いている。

 出会ってからカジュアルな服装しか見ていないが、スーツを着て様になっている姿もすんなりと想像できてしまう。

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