辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
「すまない。つい癖で。これからは和泉と呼ばせてもらうよ」

「はいっ。恋人のふりをしているのに、もしも彼女が聞いていたらおかしいかなと思って」

「それもそうだ。和泉はこういうことに慣れているみたいだな」

 端整な顔が目の前に近づけられた。

 からかうような黒い瞳に、心臓がドキドキしてきた。

「ん、んんっ。慣れているわけじゃないです。きっとそうなのかなと思っただけですから」

 咳払いをして否定する私にコウさんは楽しげに笑った。

「頼もしい恋人役でうれしいよ。さてと、ポンツーンへ移動しよう」

 ぞろぞろと客たちが動き始め、小型船から下りてポンツーンへ移動した。

 ポンツーンは大きな浮島といった感じで、白い日よけの天井の下にはプラスチックのテーブルセットがいくつも置かれ、二階部分にはビーチベッドが用意されている。海でのアクティビティで疲れた体を休ませることができるみたい。

 ポンツーンには同じクルーズ船の乗客が多いが、外国人観光客もかなり見受けられる。

 ランチはここで食べられるブッフェで、クルーズ船のツアー客はいつ食べても自由になっている。

 もうお昼の時間だが、私たちは先にシュノーケリングをすることにした。

 黒いウエットスーツがズラリとかけられているところへ歩を進めると、スタッフからシュノーケリング用具一式とライフジャケットを渡された。

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