辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 にっこり笑って、手に持っていたマスクを装着する。コウさんは頭の上にマスクとシュノーケルをつけて、私より先にエメラルドグリーンの海の中へ入った。

 少し離れてから彼は振り返り、爽やかな笑顔で手招きする。

「気持ちいいよ! おいで」

 そんなふうに屈託ない笑顔を向けられると、心臓が高鳴ってくる。

「は、はいっ、今行きます!」

 惹かれてはだめ。

 コウさんに魅了されていく自分を叱咤して、足からゆっくり海の中へ体を沈めた。

 んー、気持ちいい。

 火照った肌に触れる海水は心地よく、フィンの履いた足を動かしてコウさんに近づいた。

 真下にはサンゴ礁が群生していて、顔を海面につけて下を見ると、その光景に感動する。サンゴから綺麗な色の小魚が出たり入ったりしている。

 透明度があるので、太陽の光が海面にあたってキラキラしている。

 顔を上げてシュノーケルを口からはずすと、コウさんも同じく私と会話をするためにシュノーケルを取った。

「すごいですね! こんな海初めてです」

「ああ、もう少し泳いでみようか」

「はい!」

 ふたたびシュノーケルを口にして顔を海面につけると、隣で泳ぐコウさんが私の方へ顔を動かす。

 水の中でマスク越しに目と目が合い、彼の手が私の方へ伸ばされる。私はその手を握り、一緒に海面をゆらゆらと漂う。

 本当の恋人みたい……。

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