辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 身動きできない私にタオルが渡される。

 び、びっくりした……。

 止まらない心臓の高鳴りを感じながら、不自然に見えない程度に体を拭くスピードを速めて、パーカーを身に着けた。

 隣のコウさんもタオルで体の水滴を取り、黒のシンプルなTシャツを頭から通した。

 女性に対してあんなにドキドキするシチュエーションなのに、彼の表情はまったく変わらなくて、やはり十歳差は経験値が違うのだなと感じた。



 ブッフェ式のランチの料理をスタッフからサーブしてもらい、テーブルに着いたときも、さっきドキドキしたせいでまだぎこちなさがあった。

 脱がされた後、彼女たちの反応を見ることができなかったので、見せつけが成功したのかはわからない。

 彼女たちの姿は見えない。アクティビティをしに行ったのかもしれない。

「食べよう」

「え? あ、はいっ。いただきます」

 シュノーケルを口にするとき、どうしても海水が口腔内に入ってしまうので、喉が渇いている。

 ガムシロップとミルクを入れた甘いアイスコーヒーをゴクゴクと半分ほど飲んでから、食べ始めた。

 おなかを満たした後、ポンツーンにある半潜水艇や海中展望室で海の深いところに生息する魚たちを見て、グリーン島へ戻るまでの時間、もう一度シュノーケリングをして遊んだ。



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