辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
さっき別れるときにコウさんはカジュアルな服装でと言っていたので、ベビーピンクの半袖のサマーニットとジーンズにし、スニーカーを履いている。
どこへ行くんだろう? 食事だったら、ここで食べられるし……。
考えながら歩を進め、レセプションカウンターの近くまで行くと、白いボートネックのTシャツとジーンズ姿のコウさんがいるのが見えた。近づく私に彼が気づく。
「お待たせしました!」
「時間通りだ。髪が長いから乾かすのが大変だっただろう」
「それはもう」
私はいったん言葉を切ってにっこり笑ってから続ける。
「でも、どこへ連れていってくれるのか楽しみで、全速力で支度しました」
コウさんも笑ってくれるのかと思ったのに、神妙な面持ちだ。
「……どうかしましたか?」
困惑して尋ねると、彼は表情を変えて小さく笑う。
「いや、和泉は天真爛漫だなと思って」
「天真爛漫!? そんなんじゃないですよ。大学一年からホテルでアルバイトをしていろいろな人を見てきましたから、世の中の酸いも甘いも噛み分けられるようになっているかと」
「裕福な祖父母と旅行しているのにアルバイトを? そういえば、ちゃんと断ってきたか?」
「え? あ、はい。気をつけて行ってきなさいと」
どこへ行くんだろう? 食事だったら、ここで食べられるし……。
考えながら歩を進め、レセプションカウンターの近くまで行くと、白いボートネックのTシャツとジーンズ姿のコウさんがいるのが見えた。近づく私に彼が気づく。
「お待たせしました!」
「時間通りだ。髪が長いから乾かすのが大変だっただろう」
「それはもう」
私はいったん言葉を切ってにっこり笑ってから続ける。
「でも、どこへ連れていってくれるのか楽しみで、全速力で支度しました」
コウさんも笑ってくれるのかと思ったのに、神妙な面持ちだ。
「……どうかしましたか?」
困惑して尋ねると、彼は表情を変えて小さく笑う。
「いや、和泉は天真爛漫だなと思って」
「天真爛漫!? そんなんじゃないですよ。大学一年からホテルでアルバイトをしていろいろな人を見てきましたから、世の中の酸いも甘いも噛み分けられるようになっているかと」
「裕福な祖父母と旅行しているのにアルバイトを? そういえば、ちゃんと断ってきたか?」
「え? あ、はい。気をつけて行ってきなさいと」