辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 セットメニューを食べるのかと思っていたが、好きなネタを頼んで握ってもらうらしい。

 席に着いてすぐに緑茶が運ばれてきた。

「和泉の好きなネタは? やっぱりエビ?」

 昨晩のシーフードレストランでメニューを決めるときにエビが好きだと言ったので、お寿司のネタもそう思ったのだろう。

「はい。大好きです」

「まずはそれを握ってもらおう」

 コウさんはエビやイクラ、ウニなどを板前に頼む。

 店内の客は私たちを含めて三組しかいない。船内では無料でおいしくていろいろなメニューが楽しめるのに、わざわざお金を出して食べに来ないのだろう。

 コウさんはよっぽどお寿司が食べたくなったのね。

 彼が板前と話すのを見ながら、この後どう話を切り出そうかと考え始めて心がどんよりしてきた。食事を終えたらここを出て、どこか静かなところへ……。

「――泉? 和泉?」

「え? は、はいっ」

 コウさんの声にハッとなって目をパチクリさせた。

 いけない、考えすぎていた。

「なにか悩んでいる? よかったら聞く」

 思いがけず彼から話を切り出されて話しやすくなると思ったが、まだ食べ始めたばかりだし、それに人に聞こえるところでは告白したくない。

「食事が終わったら……人に聞かれないところで話していいですか?」

「神妙な面持ちだな。なんの話か怖いな」

 私も話をするのが怖い。

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