辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
「少しアルコールを入れた方がいいかもしれない。食事が終わったらバーへ行こう」

 お酒を飲んで、話す勇気が出ればいい。

 私はコクッとうなずいた。



 6デッキにあるバーにやって来た。

 私たちはワインレッドのひとり掛けのソファ席に腰を下ろした。双方の膝がぶつかるくらいの距離で座っている。

 隣に座ったコウさんの膝が触れそうなくらい近いので会話をするにはしやすいが、大人の雰囲気が漂う空間は静かすぎて、ここでも告白はできそうにない。席の周囲に客がいて聞こえてしまいそうだ。

 コウさんはバーボンのロックで、私はソルティドッグをオーダーし、ナッツとチョコレートのおつまみとともに飲み物が運ばれてきた。

 こういったところが彼にはよく似合う。

 バーボンのグラスを傾けている姿は心臓が高鳴るくらいかっこいい。

 だめだめ、コウさんに惹かれちゃ。彼と一線を画するため、自分を諫めるために告白するのだから。

 彼もここでは話を促そうとはせず、静かに琥珀色の液体を飲んでいる。

 アルコールの力を借りないと勇気が出ない……。

 尚子と明日香とで居酒屋へ行くこともあったが、お酒を飲むとすぐクラクラするのでチューハイを二杯程度しか飲めなかった。

 ソルティドッグはカクテルだからチューハイよりアルコール度数がある。

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