辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
 コウさんは私を気の毒に思って遊んでくれるスタンスなだけで、本当に好きで恋愛をするんじゃない。でも、その方がいいのだ。

 政略結婚前にコウさんと恋愛のまね事をしたい。

「本当に……私と恋愛をしてくれるんですか?」

「もちろん。今までは恋愛のふりだったが、明日からは本物の恋愛だ」

 真剣な眼差しはからかっているようには見えない。

 コウさんに見つめられるだけで、心臓はドキドキしてくる。触れられていない反対の手で、高鳴りを確認するように置いた。

 帰国まで、この浮き立つような感覚を感じていたい。

 こんな気持ちは初めてだったから。

「よ、よろしくお願いします」

 頭を下げると、大胆にお願いしてしまった重大さに顔を上げられない。

 すると彼の「クッ」と笑い声が聞こえた。

「硬いな。そんなんで政略結婚なんてできるのか?」

 コウさんは顔を上げさせる。そして手のひらが私の頬にあてられてなでられた。

 そんなふうにされると、困惑して思わず視線を落とすしかない。

 また彼は笑いをこぼし、頬にあてていた手をずらして私の手を握り「送っていく」と言った。

 部屋を出ても、コウさんの手はずっと私の手を握ったまま、並んで廊下を歩く。

 ほわほわと浮いているような気分だ。

 反対側の私の部屋の前に到着して、彼は微笑む。その笑顔に心臓が射ぬかれそうだ。

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